【酢納豆を管理栄養士が解説】6つの効果と基本の作り方



記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

川野 恵

フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。

日本人が昔から親しんできた「酢」と「納豆」で作る「酢納豆」。ダイエットのほか、糖尿病や高血圧などに効果があるとメディアで取り上げられました。
「酢納豆を食べて健康になれるなら!」と意気込んでいる方もいるでしょう。しかし、本当に酢納豆を食べるだけで、気になる症状が改善するのでしょうか?
この記事では酢納豆の作り方や効果について管理栄養士が解説します。酢納豆を食べるタイミングについても触れているので、ぜひ参考にしてください。

酢納豆とは

酢納豆とは、納豆に酢を入れてしっかり混ぜるだけの簡単なおかずです。酢と納豆の栄養素を一緒に摂ることで、貧血の改善やダイエットなど、たくさんのメリットが注目されて本やテレビでも頻繁に紹介されるようになりました。
市販の納豆に付属するタレは、添加物が多く含まれているものがほとんどです。市販のタレの代わりにお酢を使えば添加物や塩分の摂取も抑えられ、お酢の健康効果もあり一石二鳥です。
栄養価の高い「ご飯のお供」を探している方にとって、酢納豆はおすすめのメニューです。まずは、酢納豆を食べることで期待できる効果・効能からチェックしてみましょう。

酢納豆の6つの効果

複数の栄養素を含む酢納豆。酢納豆を食べることで、どのような効果が期待されるのでしょうか。確認してみましょう。

1.代謝をサポート

ビタミンB群が摂れる酢納豆を食事に取り入れることで、代謝をサポートできます。食べたものを体で利用するためには、代謝を支えてくれるビタミンが欠かせません。

2.ダイエットのサポート

酢酸や大豆たんぱく質、ミネラルやビタミンは、ダイエットを支えてくれる栄養素です。脂肪の分解や筋肉の活動、基礎代謝の多くを占める肝臓の働きをサポートするので、間接的に痩せやすい体づくりにつながります。
豊富に含まれている食物繊維によって、腸内がスッキリすることによってお腹周りもスッキリしそうです。
酢納豆を食べるだけで痩せることは期待できませんが、体質改善に併用するメリットは大きいです。

3.貧血の改善

鉄やモリブデンを含む酢納豆は、血液の健康もサポートします。
大豆の鉄は非ヘム鉄で、肉や魚よりも吸収が悪いです。しかし、酢の酢酸によって吸収率がアップ。さらに体の中で鉄の働きを高めるモリブデンも摂れるので、酢納豆は鉄を補えるメニューです。

4.お通じの改善

食物繊維を豊富に含み、マグネシウムも入っている酢納豆は、便通を整えたいときにも役立ちます。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を両方含むので、腸の活動や腸内細菌の働きを促進。
さらにマグネシウムが便の保水性を上げるため、便通をスムーズにします。また、納豆には腸内の善玉菌のエサになるオリゴ糖も含まれています。

5.健康をサポート

酢納豆は多くの栄養素が含まれるので、体の健康をサポートする力があります。例えば、いつも食パンだけの朝食に酢納豆をプラスすれば、それだけで栄養価は引きあがります。
酢納豆は「これだけを食べれば大丈夫!」など、魔法のメニューではありません。しかし、食事に追加することで健康をサポートすることは間違いないでしょう。

6.体づくりをサポート

大豆たんぱく質や複数のミネラルが摂れる酢納豆は、体をつくる働きがあります。「体」とは、筋肉や肌、髪の毛のほか、骨や血液などです。
酢納豆だけで必要な量すべてを補うことはできませんが、体をつくる栄養素の一部を補給できます。


参考:酢の機能性について
日本調理科学会誌「日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に」

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酢納豆は糖尿病や高血圧、視力を改善する?

酢納豆にはさまざまな栄養素が含まれます。あなたの元気をサポートしてくれる栄養素もありますが、酢納豆を食べるだけで病気が改善する可能性は低いです。
そもそも、糖尿病や高血圧、視力の低下などは、食品によって「治る」ことは期待できません。まずは専門医による診察を受け、正しい指示をあおぎましょう。
先に説明している通り、酢納豆は食物繊維が豊富なので、血糖値の上昇を緩やかにします。また、付属の納豆のタレや醤油の代わりに酢を使うことで、多少なりとも減塩効果はあります。
そのようなメリットはありますが、「病気を治す」という大きな力は期待できないのです。
しかし、毎日の小さな努力は、体に良い影響を与えます。「食事に酢納豆を取り入れ、体に栄養素をプレゼントしてあげる」と考えていただけるとうれしいです。

酢納豆におすすめのお酢


酢納豆の栄養

酢納豆の中には、いろいろな栄養素が含まれます。酢と納豆が一緒になることで相乗効果が生まれ、吸収率が上がる栄養素も。ひとつひとつ紹介しますので、参考にしてください。

大豆たんぱく質

酢納豆には大豆のたんぱく質がぎゅっと詰まっています。商品によって多少差はありますが、たんぱく質量は1パック(約45g)で7g前後です。
肉や魚に含まれる動物性のたんぱく質と同じくらい良質なうえ、脂質が少なくヘルシー。そのため、大豆たんぱく質はダイエット中の女性に人気があります。

ミネラル

納豆はミネラルも豊富に含んでいます。とくに多いものとその働きを一覧にして紹介します。

カリウム カルシウム マグネシウム モリブデン
・体の水分を調節
・血圧のコントロールに関与
・骨や歯をつくる
・筋肉の活動をサポート
・骨や歯をつくる
・代謝をサポート
・血液成分のひとつ
・酸素を運ぶのに不可欠
・鉄の働きをサポート
・毒素の分解をサポート

納豆に含まれるミネラルは、体に大切な働きを持っているものばかり。女性はとくに気をつけて摂りたい鉄も豊富です。納豆1パック(約45g)に含まれる鉄分の量は1.5mgほど。同じ量の茹でたほうれん草の3倍以上も鉄分が多く含まれています。
植物性の鉄は非ヘム鉄といい、吸収率があまり良くありません。非ヘム鉄の吸収率を上げるには、たんぱく質やクエン酸・酢酸が必須です。その点、酢納豆には大豆たんぱく質と酢の酢酸が含まれるので、効率よく鉄を摂れます。

ビタミン

納豆はビタミン類も豊富です。とくに多いのが、ビタミンKとビタミンB群。それぞれの働きは次の通りです。

  • ・ビタミンK・・・血液凝固(出血を止める)をサポート。元気な骨をつくる。
  • ・ビタミンB群・・・さまざまな代謝をサポート。神経細胞のサポート。

ビタミンKは、納豆1パックを食べるだけで1日の必要量を補えるくらいの量を含んでいますよ(※)。
※納豆1パックのビタミンKは約390μg。1日の目安量は150μg。

食物繊維

納豆は食物繊維も多く、1パックで4.3g含んでいます。野菜に多い不溶性食物繊維と海藻に多い水溶性食物繊維の両方をバランスよく摂れるのが、納豆のうれしいポイント。
食物繊維が多いと言われるキャベツやごぼうと含有量を比べてみましょう。

  • ・糸引き納豆 1パック(45g)・・・4.3g
  • ・キャベツ(生) 一食(100g)・・・1.8g
  • ・ごぼう(ゆで) 一食(70g)・・・4.3g

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
納豆を1パック食べるだけで、生のキャベツ100gより多く食物繊維が摂れるのです。

酢酸

酢酸は酢に含まれる主要な成分であり、体の中で脂肪を分解したときにも生まれる栄養素です。筋肉などでエネルギー源として利用されています。
酢酸はさまざまな生理機能が認められていて、脂肪の合成を抑えたり血糖コントロールをサポートしたりする働きもあると言われています(※)。
※参考:日本栄養・食糧学会誌「酢酸の生理機能性」

酢酸をたっぷり含んだお酢はこちら

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酢納豆の作り方

酢納豆

酢納豆

酢と納豆だけでサッと作れます。時間がない朝のご飯のお供におすすめです。
4.26 from 70 votes
調理時間 5 mins
材料(人分) 1

材料
  

  • 納豆 1 パック
  • 大さじ 1

作り方
 

  • 納豆にお酢を入れます。
  • 50回ほどしっかり混ぜます。
  • ふわふわクリーミーになったらでき上がりです。

動画

コツ・ポイント

お好みで、お醤油を少し加えても美味しいです。
海苔や塩昆布を混ぜるのもおすすめです。
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酢納豆の習慣にはこちらのリンゴ酢を!


酢納豆を食べるタイミング

酢納豆を「いつ食べるのがいいのかな?」と悩んでしまう方は、きっと多いはず。どのタイミングで食べるのが望ましいかは、酢納豆を食べる目的によります。
食事の前に食べれば、血糖コントロールや食べ過ぎ防止になるでしょう。食事中に食べれば胃酸の分泌量を増やし、消化をサポートしてくれます。また、小腹が減ったときに食べるのも、適度に栄養が補えるのでおすすめ。
つまり、酢納豆は自身が食べやすいタイミングで食べるのが一番です。あまり難しく考えず、まずは気軽に食卓に並べるところから始めてみてはいかがでしょうか。

【体験談】酢納豆を毎日食べて感じた効果

1日1パックの納豆を夜ご飯に1週間食べ続けてみた感想です。
酢納豆を毎日食べ続けたことで1番嬉しかったのは、肌の調子が良くなったことです。私は週に1〜2日、便秘になることがありましたが、酢納豆を食べてからこの問題も解決し、毎日スッキリしていたのが原因ではないかと思いました。
毎日のスッキリのおかげで?ウエスト周りが少し細くなったように感じました。

酢納豆についてのQ&A

酢納豆と普通の納豆とではどちらが健康に良いですか?
酢納豆と普通の納豆とでは、栄養価や効果に大きな差はありません。どちらも大豆たんぱく質や食物繊維、ビタミンB群などの栄養素が豊富に含まれています。ただし、酢納豆には酢が加えられているため、酢酸やクエン酸などの有機酸がプラスされています。これらの有機酸は、脂肪の分解や燃焼を促進したり、血液をサラサラにしたりする効果があると言われています。また、酢納豆は酢の風味が納豆の臭みを消し、さっぱりとした食感になっていますので、納豆が苦手な方にも食べやすいというメリットがあります。
酢納豆はどんな味ですか?
酢納豆は、酢で酸っぱく味付けされた納豆です。酢の風味が納豆の臭みを消し、さっぱりとした食感になります。好みによって、砂糖やしょうゆ、からし、わさびなどを加えても美味しくいただけます。
酢納豆はどんな料理に合いますか?
酢納豆はそのままでも美味しくいただけますが、ほかの料理に合わせたアレンジも楽しめます。例えば、ご飯の上にのせて酢納豆丼にする、サラダや和え物に混ぜる、お好み焼きやチヂミの具にする、パスタにトッピングするといった食べ方が楽しめます。
酢納豆は妊娠中や授乳中に食べても大丈夫ですか?
酢納豆は妊娠中や授乳中に食べても問題ありません。むしろ、酢納豆に含まれる大豆たんぱく質やビタミンKなどの栄養素は、母体や胎児、乳児の健康に有益です。ただし、食べ過ぎると胃腸の不調やアレルギー反応を起こす可能性がありますので、適度な量を心がけましょう。また、酢納豆に対してアレルギーがある場合は避けてください。
酢納豆作りには、どんなお酢が向いていますか?
どんなお酢でも酢納豆は作れますので、お好みのお酢で作ってみましょう。クセの無い純粋な爽やかさを楽しみたい場合は米酢などの穀物酢。ほんのり甘みのあるフルーティーな味わいがお好みであれば、リンゴ酢やバルサミコ酢などの果実酢を使うのも良いでしょう。また、健康効果を期待するなら、お酢本来の生きた成分である酢酸を豊富に含む「にごり酢」がおすすめです。
酢納豆で痩せますか?
酢納豆に含まれる酢には、食後の急激な血糖値の上昇を抑えたり代謝の促進をするなどの働きがあるとされています。血糖値が安定していると食べ過ぎを防ぐことができ、代謝が活発だとカロリーの消費が高まります。
これらのことから酢納豆に一定のダイエット効果は見込めるかもしれません。しかし、酢納豆を食べるだけで痩せるということはありませんので、バランスのよい食事や適度な運動を心がけたうえで取り入れるといいでしょう。

酢納豆で健康をサポートしよう

サッと作れるお手軽メニューなのに、納豆と酢の相乗効果もあって栄養価の高い酢納豆。たんぱく質・ミネラル・ビタミン・食物繊維など、体に欠かせないものがぎゅっと詰まったご飯のお供です。時間がないときでもすぐに作れるので、日々の食事に取り入れてみてください。

●管理栄養士からのコメント

酢納豆はテレビでも「病気を治す」と放映され、注目の的になりました。酢にも納豆にもそれぞれに栄養素が含まれ、健康をサポートする効果も期待されます。食卓の仲間に酢納豆をプラスすれば、栄養価が上がることは間違いありません。しかし、酢納豆で病気を治すのは難しいです。自分自身が体の状態と向き合い、治療の専門家である医師のアドバイスを参考にするようにしましょう。また「酢納豆は酸っぱくて食べづらい」という方は利用する酢の種類を変えるのもおすすめ。りんご酢に少しのはちみつを納豆に混ぜるのも斬新ですがおいしいです。かつお節やたらこなど、少し塩味のあるたんぱく質源を加えても美味しく食べられますよ。ぜひお試しください。

川野恵

管理栄養士プロフィール

◎川野 恵

給食委託会社や仕出し弁当屋での献立作成を経験後、出産を機にフリーランスとして活動。
フリーランスの管理栄養士としてレシピ開発や栄養のコラム作成のほか、外食チェーン店でのダイエットを意識した食べ方を紹介。現在はクリニックにて、生活習慣病などに悩む方々へ栄養指導を行なっている。

身体は食べ物でできている事を意識し、健康で過ごせるよう多くの方を支えていける管理栄養士になりたいと日々活動しています。
SNSやブログを通して、
・管理栄養士として栄養指導に携わりたい!
・血圧や血糖など血液結果を注意された!
・美味しく食べてきれいに痩せたい!
という悩みを解決するための情報を発信しています。

酢納豆作りにおすすめの商品

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薄めて「飲む酢」としてお楽しみいただくのもおすすめですよ。
かわしま屋では、大豆や納豆菌粉末も取り扱っていますので、納豆から作る酢納豆にもぜひ挑戦してみてください。





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この記事を書いた人

東京都出身。酉年生まれ。2児の父。趣味は読書と散歩と足のつぼ押し。
洗濯物をたたむのが苦手。煮豆と井上陽水が好き。