きなこの栄養と効果。おいしいレシピ&メニューアイデアも大集合

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

きなこ

和菓子に欠かせないきなこは、美味しいだけでなく栄養も満点! 豆を調理するのが苦手、という方でも手軽にその栄養を摂ることができます。

今回は、そんなきなこの魅力をたっぷりとご紹介。
栄養、健康効果からさまざまな使い方まで、きなこが持つ可能性をまとめてお届けいたします。

きなことは

きなことは

きなこ(英語:soybean flour)は大豆を煎って挽き、粉にしたものです。
その色合いから元は「黄なる粉」、現在では「黄な粉」と呼ばれていますが、青大豆や黒大豆で作られたものも存在し、青大豆で作られたものは「鶯粉」「青きなこ」などと呼ばれます。

きなこにあたる食品は奈良、平安時代にはすでに存在していたそうですが、当時は主に上流階級の楽しみだったよう。
一般的になってきたのは江戸時代からで、その頃からきなこを使ったお菓子が次々と作られて行ったようです。

求肥やわらび餅にまぶしたり、水あめと混ぜてねじったり……。
シンプルな使い方で自然な甘みや香ばしさを楽しめるきなこは和菓子には欠かせない存在ですが、現在では和菓子にとどまらず、洋風のスイーツにも使われています。

栄養価の高さでも注目されることが多く、大豆パワーを手軽に摂取できる食品としても近年人気を集めている食材です。

きなこの栄養&カロリー

きなこの栄養&カロリー

「畑の肉」などとも呼ばれ、健康維持を助ける食材として有名な大豆。
その大豆を煎ってそのまま挽いたきなこももちろん栄養豊富です。
きなこの気になるカロリーや糖質は次のとおり。

<100g中に含まれる栄養成分>
きな粉(全粒大豆) きな粉(脱皮大豆)
エネルギー(kcal)
450 451
たんぱく質(g)
36.7 37.5
脂質(g)
25.7 25.1
炭水化物(g)
28.5 29.5
食物繊維総量(g)
18.1 15.3
糖質(g)
10.4 14.2
ミネラル(g)
5.1 5.4

<100g中に含まれる栄養成分>
青きな粉(全粒大豆) 青きな粉(脱皮大豆)
エネルギー(kcal)
431 440
たんぱく質(g)
37 36.6
脂質(g)
22.8 24.6
炭水化物(g)
29.3 28.3
食物繊維総量(g)
16.9 20.8
糖質(g)
12.4 7.5
ミネラル(g)
5 5.3

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

栄養素としてはタンパク質が豊富であるほか、ビタミンやミネラルなどもバランスよく含んでいます。
さらに次のような成分が含まれ、さまざまな健康効果につながるとされています。

ダイズオリゴ糖
腸内の善玉菌を増やすはたらきをするオリゴ糖を含んでいます。
大豆に含まれるオリゴ糖は消化されにくく、酸や熱に強いという特徴があるそうです。

イソフラボン
大豆に含まれるポリフェノールの一種で、女性ホルモン様作用をもっていることが有名ですが、大豆に含まれるイソフラボンの一種「ダイゼン」には化学物質によるがんの誘発を抑制する作用や免疫力を向上させる作用も期待されています。

きなこの効果

きなこを食べるのは和菓子をいただく時くらい、という方も多いかもしれませんが、きなこは毎日いただくことで次のような効果があるといわれています。
こちらに挙げた以外にも、血圧を抑える作用や丈夫な骨を作る作用などさまざまな健康効果が期待できるようです。

効果・効能1 抗酸化効果

抗酸化効果

大豆に含まれるリノール酸のはたらきで、抗酸化効果を発揮するといわれています。老化防止や疲労回復などの効果が期待できるそうです。

 

効果・効能2 コレステロール値コントロール効果

コレステロール値コントロール効果

大豆に含まれるサポニン、レシチンという成分は、コレステロール値を下げる効果があるといわれています。それに伴い中性脂肪の減少や高脂血症の予防効果が期待されます。

 

効果・効能3 更年期障害改善効果・骨粗しょう症の予防改善効果

更年期障害改善効果・骨粗しょう症の予防改善効果

大豆に含まれるイソフラボンには女性ホルモン様作用があり、更年期の骨粗しょう症治療薬として合成されて使われることも。また、のぼせを収めるなどの効果も期待できるとされています。

 

効果・効能4 腸内環境改善効果

腸内環境改善効果

大豆に含まれるダイズオリゴ糖には腸内の善玉菌を増やすはたらきがあり、腸内環境を改善して便通を改善するなどの効果が期待されています。

 

参考:梁晨千鶴『東方栄養新書』(メディカルユーコン)

きなこの使い方

古くからデザートにかけるものとしてつかわれてきたきなこ。
現在でもお菓子の原料としての使用法がメインですが、洋風の焼き菓子やミルクを使ったデザートとも相性が良く、和風のケーキなどでも定番のフレーバーとして使われています。
料理で利用されることは少ないですが、和え物などに使うとよく合います。

まぶして・かけて
まぶして・かけて
・きなこおはぎ
・きなこ八ッ橋
・わらび餅
・揚げパン
・パフェ
・ヨーグルト
・ふりかけ
まぶすだけで甘みと香ばしさをプラスしてくれるきなこ。定番の和菓子だけでなく、パフェにプラスしたり、ヨーグルトにプラスしたりとトッピング感覚で使うと気軽に食べられます。
意外なところでは「ふりかけ」も。ごまや鰹節、昆布や塩などとブレンドしてご飯にかけると美味しく食べられます。
ペースト(クリーム)にして
ペースト(クリーム)にして
・トーストに
・和え物に
オリゴ糖や練りごまなどと合わせてペーストにし、トーストに塗ったり和え物に使ったり…。
オリゴ糖と水で練るだけで簡単にきなこねじりも作れます。
焼き菓子に
焼き菓子に
・クッキー
・マフィン
・パウンドケーキ
・ドーナツ
きなこは洋風スイーツとも好相性! 焼き菓子に粉を混ぜるだけでいつもと少し違う新鮮な風味が楽しめます。栄養もしっかり摂れるのでお子さんのおやつにも。
ドリンクやデザートに
ドリンクやデザートに
・きなこミルク
・きなこ豆乳
・きなこプリン
・きなこババロア
きなこは牛乳とも相性がよく、毎日1さじ加えるだけで手軽に栄養をプラスできます。また、ミルクを使ったデザートに使うのもおすすめです。

簡単きなこレシピ

簡単に作れるきなこのおやつを3種類ご紹介します。どれもシンプルな材料で、調理時間も短いおすすめレシピ。きなこの風味をたっぷりとお楽しみください。

きなこクッキー

きなこの滋味が味わえる、シンプルなクッキーです。バターなしでも作れ、作り方も混ぜて伸ばして成型して焼くだけととっても簡単! きなこスイーツの定番です。
材料4人分
調理時間10焼き時間を除く

きなこクッキー

 材料

・薄力粉
80g
・きなこ
20g
☆はちみつまたはオリゴ糖
45g
☆植物油
30g

 つくり方

1
薄力粉、きなこをボウルに入れて、泡だて器でダマがなくなるようにかき混ぜます。
2
☆を小さなボウルに入れて、1で使った泡だて器をそのまま使い、とろみがつくまでかき混ぜます。
3
2を1に加え、ゴムベラなどで切らないようにさっくりと混ぜて生地をまとめます。
4
3の生地をめん棒で5mmの厚さに伸ばします。
5
型抜きをして楊枝で穴を開けます。
6
160℃に予熱をしておいたオーブンに5を入れ、15~20分焼いてできあがりです。

きなこの生チョコレート

とろける食感の生チョコレート、実はご自宅で簡単に作れるんです! 簡単なのに見栄えもよい生チョコレートはプレゼントなどにもぴったり。きなこをたっぷり使った生チョコレートは、やさしくてほっとする味です。ほうじ茶と一緒にどうぞ。
材料4人分
調理時間10冷却時間を除く

きなこの生チョコレート

 材料

・ホワイトチョコレート
100g
・生クリーム
50g
・きなこ
20g
・きなこ(仕上げ用)
10g

 つくり方

1
ホワイトチョコレートを包丁で細かく刻みます。
2
小鍋に生クリームを入れて弱火で温め、きなこを入れてよく混ぜます。
3
2が軽く沸騰したら火を止め、1のチョコレートを加えて溶かし混ぜます。
4
タッパーなどの容器に耐熱ラップを敷き、3を流し入れます。
5
粗熱をとり、冷蔵庫で冷やします。
6
固まったら取り出して切り、周りに仕上げ用のきなこをまぶしてできあがりです。

黒蜜きなこ餅

黒蜜さえつくっておけばあっという間にできるきなこのおやつです。ボリュームがあるので小腹が空いたときのおやつにぴったり。油をつかっていないので、軽食感覚で食べられます。
材料1人分
調理時間5

黒蜜きなこ餅

 材料

・切り餅
2個
・きなこ
大さじ2
・黒蜜
大さじ2

※黒蜜は、黒砂糖100gと水100mlを混ぜながら弱火で煮詰めることで作れます。

 つくり方

1
切り餅を一口大に切ります。
2
ボウルに餅を入れ、熱湯200ml(分量外)を入れて3分ほどおきます。
3
耐熱皿に2の餅を乗せてふんわりとラップをかけ、電子レンジで様子をみながら30秒ほど加熱します。
4
3の餅に黒蜜をからめてきなこをふりかけてできあがりです。

●管理栄養士からのコメント

きなこは大豆を煎って挽き、粉状にしたもので、香ばしい風味があります。
きなこは不溶性食物繊維が豊富に含まれており、胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促す作用があると言われています。
お菓子に使われることが多いですが、ヨーグルトに混ぜたり、ドリンクに加えるなど手軽に摂取できるので、是非日々の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ようこ

管理栄養士プロフィール

◎鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

きなこについてのQ&A

きなこがダイエットに効果があるというのは本当ですか?
きなこは食物繊維を豊富に含んでいます。きなこに限らず、食物繊維は食事の前に摂ることで食後の血糖値の上昇を防ぐことができます。このため、きなこドリンクなどを食前に飲むとダイエットに効果があるといわれているようです。
離乳食にきなこを使えるのは何か月からですか?
離乳食を始めてから1か月ほど経ってから、6~7か月頃から取り入れるといいようです。
黒豆のきなこと黄色いきなこはどちらが栄養価が高いですか。
黒豆を使ったきなこには、黄色いきなこには含まれないアントシアニンというポリフェノールが含まれています。
きなこを食べ過ぎるとどうなりますか?
栄養豊富なきなこですが、消化しにくいため、食べ過ぎると胃の負担になることも。毎日大さじ1~2杯ほどが適量でしょう。
きなこを牛乳に溶かすとき粉っぽくなってしまいます。
少量の牛乳で溶いてからのばしていくと粉っぽくならずにきなこミルクをつくることができます。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。