ケール|豊富な栄養素やその効果効能、簡単美味しいレシピまで

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

ケールって聞いたことあるけど、どんな野菜なんだろう?
ケールの栄養や食べることで得られる効果効能、ケールを使用した簡単に作れるおすすめのレシピを知りたいと考えていませんか。

本記事では下記について解説します。

ケールとは?

ケール

ケールは地中海が原産地で、アブラナ科に属する葉物野菜です。
キャベツに近いような見た目をしていますが、成長しても結球することはなく、高さも長いもので2メートルにもなります。
葉が広がっていたり、縮んでいたりするのは品種の違いで、名称としてはコラードケールやカーリーケール、シベリアンケールなどがあります。
ケールは青汁にも使用されている緑黄色野菜ですので、栄養についてもビタミンやミネラル分が豊富に含まれています。
ケール自体は、よほど寒い環境でなければ通年で育てることができますが、甘みが最も強い旬は、秋の終わりから冬にかけての時期です。
日本での産地は、福岡県や茨城県、鹿児島県や島根県など各地で生産されています。

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ケールに含まれている栄養

栄養

ケールは緑黄色野菜の中でも含有している栄養素がトップクラスです。
カルシウムをはじめ、食物繊維、ビタミンEやビタミンCなどが豊富に含まれています。
青汁が体に良いとされているのも、この栄養豊富なケールを使用しているという理由もあるようです。
また、ファイトケミカルと呼ばれる、野菜などの植物特有の抗酸化作用のある成分も豊富に含まれています。
ケールを食べることで効率よく摂取できるので、細胞の円滑な働きを促すことによって、アンチエイジングや美容にも効果的といえるでしょう。

食品成分 野菜類/ケール/葉、生 野菜類/ほうれんそう/葉、通年平均、生
廃棄率 3% 10%
エネルギー 28kcal 20kcal
水分 90.2g 92.4g
たんぱく質 2.1g 2.2g
脂質 0.4g 0.4g
炭水化物 5.6g 3.1g
灰分 1.5g 1.7g
食塩相当量 0g 0g
カルシウム 220mg 49mg
レチノール活性当量 240μg 350μg
αートコフェロール 2.4mg 2.1mg
ビタミンC 81mg 35mg
食物繊維総量 3.7g 2.8g

https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

ケールの効果効能

効果効能

ケールを食べることで得られる健康効果は主に5つあります。
順番に解説していきます。

効果効能1 抗酸化作用効果

抗酸化作用効果

ケールに含有している栄養には、フラボノイドをはじめとした、たくさんのポリフェノール類やビタミンCなどの抗酸化作用のある成分が含まれています。
抗酸化作用とは、呼吸とともに発生する活性酸素を抑える働きのことです。
活性酸素は免疫機能に有利に働きますが、発生する量が多すぎると、逆に細胞を傷つけてしまうことによって老化やがん、動脈硬化の原因となってしまいます。
ケールに含まれるポリフェノール類やビタミンCには抗酸化作用が期待できます。
特に、活性酸素が発生しやすい条件として、過度なストレスや強度の高すぎる運動などがあります

適切な運動を日々行うことと、ストレスを緩和するために発散する方法をそれぞれが実践することに加えて、食生活も整えていくことで抗酸化作用の効果を、より発揮させることができるでしょう。

 

①International Journal of Food Properties
Level of Vitamin C, Polyphenols, and Antioxidant and Enzymatic Activity in Three Varieties of Kale (Brassica Oleracea L. Var. Acephala) at Different Stages of Maturity
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10942910903580926?src=recsys#
②厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

効果効能2 酵素の働きをUPする効果

酵素の働きをUPする効果

まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見が分かれていますが、ケールなどのアブラナ科の野菜に物理的な衝撃を加えると、グルコシノレートと呼ばれる辛味成分が発生します。
このグルコシノレートには発がん性のある物質を、解毒する作用が認められている酵素の働きをUPさせてくれる効果がある、という研究報告があります。
現在日本人の死因第1位である、がんにかかる確率は男性で63%、女性では48%といわれており、さらにがんで死亡する確率は男性24%、女性15%という報告があります。
がんにかかってしまう原因の多くはウイルスではなく、細胞の遺伝子の変異によります。
発がん性の物質を完全に遮断してしまうことは不可能ですが、体内で解毒できるシステムが活性化されれば、発がん率を減らすことができる可能性があります。
今後のさらなる研究によって、ケールのグルコシノレートが発ガン率を減らすことに貢献できる可能性が考えられるでしょう。

 

①独立行政法人 理化学研究所
https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2007/20070410_1/20070410_1.pdf
②国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html
③National Library of Medicine
Brassica Vegetables and Cancer Prevention. Epidemiology and Mechanisms
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10736624/

効果効能3 視力に働きかける効果

視力に働きかける効果

ケールに含まれる油の成分によって加齢性黄斑変性症の症状が緩和した、という研究報告があります。
加齢性黄斑変性症とは、目に存在する黄斑と呼ばれる、物を見る際に重要な働きをする場所が加齢によって変化することで、物が見えにくくなったり、ゆがんで見えたり、視力自体が低下し、さらには失明の可能性もある病気になります。
実験では、ケールの油分とプラセボと呼ばれる偽薬を被験者に与えて、4週間後に効果を確かめたところ、ケールの油分を与えたグループには優位な変化がみられたという報告があります。
現段階ではまだまだ未知の領域ですが、今後さらに研究が進んでいくことによって、ケールが加齢性黄斑変性症の症状を緩和することができる可能性がある、と捉えることができるでしょう。

 

①National Library of Medicine
Age-related Macular Degeneration: Effects of a Short-Term Intervention With an Oleaginous Kale Extract–A Pilot Study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24103519/?dopt=Abstract

効果効能4 便秘を改善する効果

便秘を改善する効果

ケールをはじめとした野菜には豊富な食物繊維が含まれていますので、便秘を改善する効果があります。
キャベツと比較すると2倍以上の食物繊維が含まれています。
食物繊維には便のかさを増やしたり、腸内細菌に存在している善玉菌を増やして、結果的に悪玉菌を減らすという整腸作用があるので、積極的に摂取していきたい栄養素になります。
また、食物繊維の効果は便秘を改善するだけではなく、血中のコレステロール値を下げたり、食事後の血糖の急上昇を抑えて、血糖低下作用のあるインスリンを放出する、すい臓の負担を減らすことができます。
日本人の食物繊維の摂取量は、厚生労働省が掲げている必要量に届いていない傾向にあるので、普段の食事からケールのみからではなく、きのこ類や豆類、藻類などをふんだんに摂り入れた食生活を心がけていきたいものです。

 

厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

効果効能5 アレルギーに働きかける効果

アレルギーに働きかける効果

まだまだ研究段階であり、研究者の間でも意見がわかれていますが、ケールを一定期間摂取すると、花粉症の症状の緩和がみられたという報告があります。
内容としては、スギ花粉症のあるグループに10週間連続してケールの成分を投与すると、日本アレルギー学会の重症度スコアを利用した結果に低下がみられ、目の症状での効果が特に高かったということです。
理由としては、ケールに含まれるフラボノイドなどのポリフェノール類が関わっているようです。
花粉症は、高齢期になるまで自然に改善されることが少ない、という特徴があります。
毎年花粉の飛散量は増減しますが、花粉が多く飛散すれば花粉症の症状が強く出てしまうことはありませんし、逆に花粉の飛散量が少なくても花粉症の症状が軽くなるというものでもありません。
現在の花粉症の治療としては医師による薬剤の処方ですが、今後さらに研究がすすんでいくと、ケールによる花粉症抑制効果が実証されることが場合によってはあるかも知れません。

 

①厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/okamoto.html
②(株)ファンケル中央研究所
http://www.sugitani.u-toyama.ac.jp/sangaku/forum/forum/souyaku16/tsuji.pdf

ケールの食べ方や保存方法とは?

保存方法

ケールは栄養豊富な野菜ですが、独特の苦味があり、苦手な人も多いと思います。
ここでは苦味の強いケールを食べやすくするための方法をお伝えします。
主には2つあり、苦いケールの見分け方と、苦味を抑えるための調理方法です。

ケールの見分け方

葉の部分に注目してください。
縮れている方が苦味が強めなので、しっかりと開いたものを選ぶと良いでしょう。
ただ、苦味の成分は抗酸化作用に優れているので、健康増進を考慮して、あえて葉が縮れている苦味の強いケールを選ぶのもおすすめです。

ケールの食べ方

ケールの苦味をとるためには、下茹でするのが一番です。
沸騰させたお湯に、塩少々を加えて1分程度茹でると良いでしょう。
ただ、ケールに含まれる水溶性ビタミンなどの栄養素がお湯の中に解け出てしまうので、茹で過ぎないように注意しましょう。
また、茹でずに生でサラダにして食べる場合は、塩もみすると良いでしょう。
冷蔵庫に保管していると徐々に苦味が強くなっていきますので、新鮮なうちに使いきるようにすることも苦味を抑えるためのコツです。

保存方法

乾燥を防ぐために、キッチンペーパーを湿らせておいたもので挟み、ナイロンの袋に入れ、冷蔵庫内の野菜室に入れておくと1週間程度もちます。
冷凍する場合は、2分程度茹でたらジップロック等に入れて保存します。

ケールを使った簡単おすすめレシピ

ケールを使用した、簡単に作れるおすすめレシピをご紹介します。

ケールのお浸し

誰でも手軽に作れるケールのお浸しです。
ほうれん草や小松菜のお浸しとは一味違った美味しさがあります。
ポン酢をかけても美味しく頂くことができます。
材料2人分
調理時間5

ケールのお浸し

 材料

ケール
5本
かつお節
適量
砂糖
大さじ2分の1
醤油
大さじ1

 つくり方

1
ケールにある軸の部分をそぐ
2
1を1分程度茹でる
3
茹で上がったケールを水で冷やす
4
3の水気を絞ったあとに5cm程度に切る
5
砂糖と醤油で味を整えたあとに、かつお節を加えて完成です。

ケールサラダ

食物繊維をたくさん摂ることができ、生で食べることによって調理で損失しやすい各種ビタミンも残さず摂取することができます。
市販品ではなく、お好みで調味したドレッシングをかけて食べると、より健康的で美味しいですね。
材料2人分
調理時間5

ケールサラダ

 材料

ケール
1束
レタス
半分
きゅうり
1本
パセリ
10g
チーズ
10g

 つくり方

1
ケールの軸をとります。
2
レタスを食べやすい大きさに、ちぎります。
3
きゅうりを千切りにします。
4
パセリとチーズや123を合わせて完成です。

ケールについてのQ&A

ケールについてよく聞かれる質問をQ&A方式でお答えしていきます。

苦いのが嫌なのですがどうしたら良いですか?
塩もみしたり、茹でたりすることで苦味をある程度抑えることができます。
肌がキレイになりますか?
抗酸化成分がたくさん含まれていますので、肌にも良い影響があります。
ダイエットに効果がありますか?
各種ビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、健康的に痩せることができる、きっかけになります。
冷凍保存できますか?
すぐに食べない場合は、2分程度茹でたあとにジップロックなどに入れて冷凍すると良いでしょう。
おすすめの調理方法は何ですか?
サラダなど、生で食べる方法が効率的に栄養素を摂取できて、かつ簡単に調理できるのでおすすめです。

●管理栄養士からのコメント

ケールとは、アブラナ科の緑黄色野菜です。
ケールに含まれている栄養は、食物繊維やビタミンE、Cなどが豊富に含まれています。
研究段階の作用もありますが、ケールの効果効能としては、主に5つです。

  • ・抗酸化作用
  • ・酵素の働きをUPする効果
  • ・視力に働きかける効果
  • ・便秘を改善する効果
  • ・アレルギーに働きかける効果

ケールの食べ方としては、塩もみや茹でることで苦味が緩和します。
使いきれない分は冷凍保存することもできます。
ご紹介したように、簡単に作れる栄養豊富なケール料理を普段の食生活に摂り入れ、ダイエットやアンチエイジングなど、健康的な毎日を送ることができるきっかけにしたいものです。

稲尾 貴子

管理栄養士プロフィール

◎影山敦久

管理栄養士、栄養教諭。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方に栄養指導や料理教室を行うかたわら、特定保健指導にも携わる。得意分野はダイエットとスポーツ栄養。

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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。