ローリングストックとは~防災のためのおすすめの備蓄方法

災害への備えとして「ローリングストック」という方法がありますが、これはやり方を間違えますと「難しい」「面倒くさい」となってしまいがちな方法です。

ということで今回は防災のためにおすすめの「正しいローリングストックの方法」を説明していきます。

ローリングストックとは

ローリングストックとは

ローリングストックも、災害などいざという時の「備蓄」には違いありませんが、気になるのは「普通の備蓄と何が違うの?」というところだと思います。

【普通の備蓄】
長期保存が利く食材などを「備蓄用」として、いざというときのために手を付けずに保管しておくことです。

【ローリングストック】
日常生活で消費する食材などを、ある程度多めに家に備蓄しておいて、古い方から順に使っていく、という方法です。

例えば、1週間分の食材を常に家に備蓄しておいて、古い方から食べ、食べて減った分は新たに買って補充します。

この方法なら、常に1週間分の食材は確保できて災害に対応できますし、うっかりして賞味期限が切れてしまうということも起こりません。

防災のためのローリングストック

このローリングストックという方法は、防災のために特に役立ってくれます。

なぜかというと、備蓄が役立つような災害はめったに発生しないからです。

めったに発生しない
→そのため「だけ」に備蓄するのは面倒、費用も惜しい
→備蓄なんてしなくいいや…

となってしまいがちですが、ローリングストックであればこのようなことにはなりません。

日頃の生活で使うものを少し多めに備蓄するだけですから、習慣にしておけば自然に防災に役立つことになります。

メリット・デメリット

【3つのメリット】

1.日常生活の延長で実践できる
日常生活で消費している食材などを、いつも買っていた量より少し多めに購入しておくだけでローリングストックは可能となりますので、普通の備蓄に比べると気軽に実践することができます。

2.忘れにくい
また、備蓄の更新を忘れてしまって、賞味期限切れ、消費期限切れ、古くて使えなくなっていたなどということも起こりにくい方法です。

3.収納場所の節約にもなる
日常的に使っているものを少し多めに確保しておくだけですので、収納場所も「備蓄専用」に比べると節約できます。

【2つのデメリット】

1.欲張ると混乱しやすい
いろいろなものをローリングストックしようとすると混乱してしまう恐れがあります。

2.ローリングストックだけでは万全ではない
また、すべての物がローリングストックに向いているというわけではありません。当然ですが、「非常時にしか使わないようなもの」はローリングストックはできません。

だからそういうものはローリングストックではなく、普通に備蓄します。

「ローリングストック=非常食・保存食」は間違いのもと

ローリングストック=非常食・保存食

いざローリングストックを始めようとすると
「非常用だから、非常食、保存食を備蓄すればいいんだな」
と考えがちですが、これは間違いのもとです。理由は以下の2つ。

【理由その1】

「ローリングストック=非常食・保存食」と考えていると、食品ばかり備蓄してしまうことになります。

ローリングストックで必要なものは食品以外にもいろいろありますので、上記のような考え方だと災害などいざという時に困ってしまうことになります。

【理由その2】

ローリングストックの基本は「日常的に使うものを少し多く備蓄しておくこと」です。

それなのに非常食を多く確保しておくと、「日常的に非常食を消費する」というおかしな状況になってしまいます。

またそういう非常時に特化した食品は通常より高価です。
それで結局「ローリングストックはつらい」と感じてやめてしまうことにもなります。

ローリングストックのおすすめ事例

ローリングストックのおすすめ事例

ここではローリングストックのおすすめ事例を紹介します。

あくまで一例です。各家庭で日常的に消費するものは違いますので、それに応じて備蓄すべきものを調整してください。

備蓄量の目安

備蓄量の目安ですが、最低でも3日分がおすすめとされています。

なぜなら、4日目くらいからライフラインが復旧するケースが多いからです。

ただあくまで「そういうケースが多い」というだけで、もっと長引くこともあります。

そう考えると、ストックは多ければ多いほど安心ということになりますが、あまりに多すぎるのは現実的ではありません。

たとえば1ヶ月分もローリングストックしようとすると、常に1ヶ月分古くなったものを消費しなければならなくなります。これは特に食材だと大変でしょう。

ということで、多くても1週間分程度がおすすめとされています。

4人家族の例

30代夫婦に小中学生2人、という家族の例です。3日分ローリングストックします。

います。なのでローリングストックする食品も、調理することを前提としたものが多くなります。

食料品 備考
飲料水 1人1日3リットル、4人3日で36リットル。
炊飯時に洗えないので無洗米が望ましい。常に5キロ以上ストック。
味噌 常温保存可能。栄養バランスも良い。
長持ちする野菜 日頃使う野菜の半分は長持ちするものにしておく。イモ類、かぼちゃ、玉ねぎ、ごぼう、ピーマン、ニンジン、白菜など。
魚や肉の缶詰 タンパク源は好みのものを選ぶと良さそう。
鯖の缶詰や焼鳥の缶詰だったら、1人1日2缶とすると3日分で24缶備蓄することになる。日常的に週2缶消費すると12週で全て新しいものと置き換わる。
魚や肉入りのレトルト食品
魚肉ソーセージ
各種調味料
サプリメント マルチビタミンやマルチミネラルなど総合的なもの。
その他 リンゴやミカンなど日持ちのする果物、チョコレートなど高カロリーのお菓子など。

お米は鍋で炊くことになるので、一度試しておくといいと思います。

日用品 備考
カセットボンベ 最大火力で約1時間もつ。1日1本が目安。カセットボンベ式ストーブを使うなら多めに備蓄しておく。
ライター
ティッシュペーパー 使用期限がないので日頃からできるだけ多めに確保しておく。どちらか一方という場合はティッシュペーパーのほうがいろいろ使えて便利。
トイレットペーパー
除菌用ウェットティッシュ 体拭き用の大きめのものが使いみちが多くて便利。
除菌用アルコール 3日で400mlスプレー1本。
ラップ 日頃から2本程度確保。食器を包んで使えば洗う水を節約できる。包帯の代用にもなる。
マウスウォッシュ リステリンなど。1リットル以上常備しておく。歯磨きに役立つだけでなく、口からの感染もある程度防げる。

一人暮らしの例

一人暮らしの場合は1人なので不安も大きくなってしまいますが、ローリングストックすべきものは自分のものだけなので比較的融通がききやすいです。

基本的には4人家族の場合の4分の1の量でよいことになります。

でも、一人暮らしだと自分で食材を調理しない人も多いでしょうから、そういう人の場合は、少し難しくなるかも知れません。

たとえば、食事はいつも外食とか、お弁当とお惣菜、という人の場合は、食材のローリングストックができません。

ということで以下に、自分で調理しない場合の事例を挙げてみます。

食料品 備考
レトルトご飯 週に何度か食べるようにしておくと、ローリングストックに組み込むことができる。
レトルトのおかず
インスタント食品
果物 長持ちするリンゴやミカンなど。
お菓子 カロリーの高いもの。

水に関しては、一人暮らしで2リットルペットボトルだと使い切る前に雑菌が増殖してしまうかも知れないので、1リットルや500mlなど小さめのペットボトルを常用するとよさそうです。

食料品以外は一人暮らしでも備蓄内容が変わるわけではありませんので、必要なものを必要なだけ常備しておきます。

ローリングストック備蓄品のリスト

ローリングストック備蓄品のリスト

前項ではローリングストックの備蓄例をいくつか紹介しましたので、こちらではローリングストックに向いているものを網羅的に紹介します。

でも「これをすべて揃えるべし」というものではありません。自分にとって必要なものを選ぶためのリストです。

たとえばレトルトご飯しか食べない人には無洗米は不要ですし、それどころか「主食は米ではなくてパン」という人もいるでしょう。

また、1人1日3リットルの飲料水が必要とは言われているものの、自分で料理をしない場合はそんなに使わないことも多いです。

なので、自分に必要なものを選び、1日に自分がどれくらい消費するかをはっきりさせた上で、ローリングストックすることが大切です。

水と食品

食料品 備考
飲料水(ペットボトル) 1人1日3リットル。
お米 無洗米が望ましい。
レトルトご飯
味噌
パン 調理パンでなければ、未開封常温で5日前後もつ。パンの缶詰もある。
乾麺 スパゲティなど。
インスタント麺 カップ麺は場所を取るけど使い捨ての食器にもなる。
缶詰 肉や魚などタンパク源。
レトルト食品 カレーや丼もの。
魚肉ソーセージ、チーズかまぼこ その他類似品も。
野菜 イモ類、かぼちゃ、玉ねぎ、ごぼう、ピーマン、ニンジン、白菜など日持ちするもの。
果物 リンゴやミカンなど日持ちするもの。
野菜ジュース 野菜や果物の備蓄が面倒ならジュースが便利。水分も摂取できる。
お菓子 高カロリーなものや栄養バランスの良いものを選ぶ。
調味料各種
サプリメント マルチビタミンやマルチミネラルなど総合的なもの。
乾物 しいたけ、切り干し大根、干し芋、ドライフルーツ、高野豆腐、干し肉、魚介類の干物などいろいろある。

納豆は保存食と言われますが、常温でどれくらいもつかは気温によっても違いますし、食べられるかどうかを「におい」で判別し難いです。なので納豆はローリングストックにはおすすめしづらい食材です。

冷凍食品も保存食というイメージがありますが、電気が止まってしまうと解凍されてしまいますので早めに食べる必要があり、おすすめしづらい食材です。

日用品

カセットボンベ 1日1本以上。
カセットボンベ 使用期限がないので日頃からできるだけ多めに確保しておく。どちらか一方という場合はティッシュペーパーのほうがいろいろ使えて便利。
トイレットペーパー
除菌用ウェットテュッシュ 体拭き用の大きめのものが使いみちが多くて便利。
除菌用アルコール 400mlスプレー1本以上を常備しておく。
ラップ 日頃から2本程度確保。食器を包んで使えば洗う水を節約できる。包帯の代用にもなる。
ビニール袋 大きいものと小さいもの。使いみちはいろいろ。
ライター
アルミフォイル 食材を温めるときに使うとフライパンなどを洗わずにすむ。
割り箸、爪楊枝
救急箱、常備薬
マウスウォッシュ リステリンなど。1リットル以上常備しておく。歯磨きに役立つだけでなく、口からの感染もある程度防げる。
生理用品
綿棒
マスク
使い捨てカイロ 寒い時期は必需品。
乾電池 懐中電灯やラジオに。

日頃コンタクトレンズを使っている場合は使い捨てのコンタクトレンズが欲しくなるかも知れませんが、非常時にはメガネの方がおすすめです。

ベビー用品

粉ミルク
離乳食
紙おむつ 大人用簡易トイレの代わりとして使えなくもない。
おしりふき 中身は「からだふき」と同じものもあるので兼用も可能。

高齢者用品

おかゆ
常備薬 いつも服用しているものがある場合。
補聴器用電池
入れ歯洗浄剤

ローリングストックの収納方法

ローリングストックの収納方法

ローリングストックの収納で気をつけなければならないのは、食料品です。

食料品には賞味期限がありますからね。

食料品の中でも、お米、野菜、果物など消費の頻度が高い食材は忘れにくいので、冷蔵庫や冷暗所に普通に保存して順序よく消費していくことができるでしょう。

特に気をつけなければならないのは「少し長持ちする食品」です。

例:飲料水

例えばペットボトルの水。開封しなければかなり長持ちしますが、それだけに管理がいい加減になって、気がついたら「賞味期限が切れていた」なんてことにもなりやすいです。

そういう事態を避けるために、ペットボトルの水は通販でまとめ買いして、「箱単位」で管理するのがおすすめです。

例えば以下のようにします。

最初に1箱「2リットル×9本入り」を3箱購入
→1箱開封して消費
→1箱分使い切ったところで新たに1箱注文
※4人分の場合

あとは「1箱消費したら1箱注文」の繰り返しです。

こうすると、箱で整理されるので収納場所も散らかりませんし、まとめ買いなので節約にもなります。

例:レトルト食品や缶詰

レトルト食品や缶詰は以下のようにします。

1日分ずつ箱に収納。7箱作る。
→週に1箱分消費
→新たに1箱分購入して補充
※7日分の場合

こちらも「1箱分消費したら1箱分購入」の繰り返し。消費ペースはあくまで一例です。

購入した日付をポストイットなどに書いて貼り付けておけば、順序よく消費できます。

ローリングストックは難しい? 簡単なやり方は?

ローリングストックは難しい?

「ローリングストックを実践しようとしたけど、難しくてやめてしまった」

そういう話も時折耳にします。

ローリングストックを難しくしてしまう原因は、主に2つあります。

【その1】うまく収納できずに混乱してしまうパターン。

【対策】上述の「箱単位の管理」などがおすすめです。

【その2】あまりにも多くの種類のものをローリングストックしようとして面倒になってしまうパターン。

【対策】「必要なものを、ギリギリまで絞り込む」のがおすすめです。

例えば1週間分のローリングストックをするなら、あれもこれもと欲張るのではなく、「1週間、健康に生きていくために、自分にとってどうしても必要なものは何か」と考えて、ストックするものを厳選します。

そうして、ローリングストックするものをなるべく少なくすることで、「混乱」や「面倒臭さ」を回避します。

宅配の利用

必要なものをギリギリまで絞り込んだとしても、「補充するのをつい忘れてしまう」ということもあります。

それが心配な人は、定期的に宅配してくれるサービスを利用するのがおすすめです。

食材でも日用品でも、定期的に宅配してくれるサービスはありますので、必要量を宅配してもらえるよう手配しておけば、補充を忘れる心配もありません。

また、ローリングストック自体を忘れてしまう心配もありません。食材や日用品の宅配が来るたびに「あ、そうだった」と思い出すことができますからね。

【厳選結果】美味しくて健康的なローリングストックにおすすめの食品

ローリングストックにおすすめの食品

「健康に生きていくためにどうしても必要なもの」

その一つが食料品ですが、食料品の場合、いろいろな栄養を必要としますので、「あれもこれも」となってローリングストックを混乱させがちです。

  • ・エネルギー源である糖質
  • ・各種ビタミン
  • ・各種アミノ酸
  • ・各種ミネラル
  • ・食物繊維
  • ・GABA

こういう栄養素をすべて取ろうとすると、食材の種類が多くなりすぎて絶望してしまうかも知れません。

なるべく少ない種類の食材で、なるべく多くの栄養をバランスよくとりたい。そうすればローリングストックも格段に実践しやすくなるはず。

でもそんな食品があるのか?ということですよね。できれば天然素材で。

おすすめの食材が「酵素玄米」です。

酵素玄米

ご覧いただくとわかるのですが、酵素玄米だけで非常に多種類の栄養素をカバーできてしまいます。

白米だとほぼ「糖質だけ」ですが、これを酵素玄米にかえるだけで

  • ・糖質
  • ・各種ビタミン
  • ・各種アミノ酸
  • ・各種ミネラル
  • ・食物繊維
  • ・GABA

というように摂取できる栄養素の種類が一気に増えます。

白米から酵素玄米にかえるだけで多くの栄養をカバーできるようになるのでお金の節約にもなります。

各種栄養素を確保するためにいろいろな食材を買い揃えようとすると相当な出費になってしまいますから。

ですので酵素玄米は非常時にバランスよく栄養をとるのにおすすめですし、日常生活にも是非取り入れたい食材なです。

ということは日頃必要なもののストックを少しだけ増やすローリングストックという方法に向いた食材ということになります。

Q&A

ローリングストックを始めようと思うのですが、特に備蓄したほうが良いおすすめのものはありますか?
日常生活で消費しているものを、少し多く備蓄して災害など非常時に備えるのがローリングストックです。なので自分が毎日消費しているものの中で、「これがなければ生きていけない」というものを厳選してローリングストックするのが、おすすめの始め方です。
防災のためにローリングストックを実践しようと思うのですが、気をつけなければならないことは何でしょうか?
ローリングストックが役に立たなくなる事態も想定しておくべきでしょう。例えば火災や洪水などでどうしても自宅から離れなければならないような時です。万全を期すなら、ローリングストックとは別に、そういう事態への備えも必要です。
ローリングストックに向く非常食にはどんな物がありますか?
本文でも触れたように、非常食だけに注目するのは間違いのもとですが、非常食になるものを取り入れるのは間違いではありません。その場合は、「非常食にもなるし、日常生活でも役立つ」というものが理想的です。本文で紹介した酵素玄米などがそれに当てはまります。
ローリングストックは普通の備蓄と比較してどんなメリットがあるのですか?
普段使っているものを少し多く常備するだけなので何を常備すべきか判断しやすい、備蓄量の計算もしやすい、購入費用や保管スペースを節約できる、忘れてしまって食材を無駄にするということが起こりにくい、などのメリットがあります。
備蓄量の目安を知りたいです。
最低3日分、大きな災害の危険度が高いところでは1週間分を備蓄することが推奨されています。1日分の量は各家庭によって何をどれくらい消費するかが違いますので、「うちは何をどれくらい消費しているのか」を一度はっきりさせて、それより少し多いくらいを1日量の目安にすると良さそうです。

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