エリスリトールはカロリーゼロの甘味料|リスクや安全性が気になる!



記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

エリスリトール

近年注目が高まっている希少糖の一種「エリスリトール」。
カロリーがほとんどなく血糖値を上げないという特徴をもち、ダイエットや健康維持によいと注目が集まっています。
一方で、「合成甘味料なの?」「発がん性などはないの?」「使い方は?」など、馴染みが薄いゆえの疑問も多いはず。
この記事ではエリスリトールに関するさまざまな疑問にお答えし、食生活に取り入れるための情報をご紹介します。

エリスリトールとは

エリスリトールとは

エリスリトール(英語:erythritol)は天然の糖アルコールの一種です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、糖アルコールとは、キシリトールやソルビトール、マルチトールなどの仲間で、自然界に存在する甘味成分です。自然界に存在するといっても果物や野菜に含まれる量はごくわずかで、キシリトールなどと同様希少糖(rare sugar)と呼ばれています。
市販されているエリスリトールは、トウモロコシや小麦のデンプンを発酵させるなどして作られており、合成甘味料(天然には存在しない成分を人工的に合成した甘味料)とは異なります。

エリスリトールの特徴

特徴

エリスリトールの特徴は、なんといってもカロリーがほとんどなく、血糖値を上げないこと。
1gあたり約0.2kcalと、カロリーは砂糖の約1/20。それでいて砂糖の約75%の甘さがあり、砂糖の甘味に近い味とされています。近年では日本でもチョコレートやシリアルなど、健康意識の高い方のための食品に使われるようになってきました。
「エリスリトールはスーパーで見かけたこともないし、得体が知れない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、砂糖の代替甘味料としてポピュラーな「ラカント」という商品の主原料でもあり、知らずに摂っている方も多いかもしれません。
安全性も高いとされ、注目されている甘味料です。

参考:オレオサイエンス「エリスリトール」

エリスリトールの味や食感は?

エリスリトールは砂糖の75%ほどの甘さがありますが、口に入れた時に熱を奪うため、ひんやりとした冷涼感が感じられます。後味がサッと引いていくので、あっさりした味に感じられるでしょう。
また、調理で使われる他の素材の苦みや渋みを緩和するはたらきもあります。

とうもろこしから抽出したエリスリトール


エリスリトールのカロリーとメリット

糖質制限

エリスリトールの栄養成分を見ると、100g中炭水化物が100gという「糖質のカタマリ」。
身体によくないのでは?!と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、糖質100%であっても、カロリーがほぼなく、血糖値を上げないのは事実ですので安心してください。

エリスリトールのカロリー

厚生労働省のエネルギー代謝の評価法では、エリスリトールは0kcal/gとされていますが、正確には約0.2kcal/gあるといわれています。といっても、たとえ100g摂ったとしても20kcalとリンゴ一切れ程度。お菓子作りなどに使用する場合、チョコレートやキャンディなど炭水化物を使わないメニューに利用すると、ダイエットに適したおやつを作ることができます。

エリスリトールと血糖値の関係

エリスリトールは大部分が小腸で吸収されて血中に移行しますが、血中では代謝されず、ほとんどが尿として排泄されてしまいます。大腸にたどりついた10%程度のエリスリトールは腸内細菌によって分解され、短鎖脂肪酸などになりますが、インスリン濃度を上げないため、糖尿病患者の方の甘味料としても適しているとされています。
糖質制限をしていて甘いお菓子を控えているという方でも、たまには砂糖やみりんを使った和食が食べたいと感じたりするもの。エリスリトールはそんな時にもおすすめです。

エリスリトールのメリット

糖には砂糖以外にも多くの種類があり、それぞれ味や性質が異なります。エリスリトールには次のようなメリットがあります。
エリスリトールは、カロリーは1gあたり約0.2kcalとなっており、腸内で分解されて体内にはほとんど吸収されません。そのため砂糖と置き換えることで血糖値の低減に効果的です。
また、虫歯菌に利用されず、口の中のpHも下げないため、虫歯の原因になりにくいという特徴もあります。
ほかに、エリスリトールは糖アルコールの中でも下痢を起こしにくい種類とされているのもうれしいポイントでしょう。

参考:栄養学雑誌「低エネルギー糖質甘味料・エリスリトールの体内代謝と食品への応用」

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エリスリトールは安全?危険性はない?

副作用

エリスリトールはJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)においてその安全性が確認されており、「1日の摂取許容量を定める必要がない」とされています。
ただし、キシリトールなどと同様、大量に摂取すると下痢の原因になることも。
エリスリトールは他の糖アルコールと比較すると下痢になりにくいといわれていますが、一度に摂取する量は成人の場合40g程度に抑えた方が良いようです。
エリスリトールは稀にアレルギーの原因になることもあるとされていますので、症状が出た場合は摂取を控え、医療機関に相談しましょう。
また、アメリカのある研究では、エリスリトールに血栓のリスクを高める恐れがあるという論文が発表されています。
糖尿病や心疾患につながる基礎疾患のある人は血中エリスリトールの濃度が高くなると、脳卒中や心臓発作による死亡リスクが増大する可能性があるようです。
加えて、エリスリトールはほぼ0カロリー、つまり体内では代謝されずほとんどが尿となって排出されます。
そのため、腎機能の低下している人も体内のエリスリトール濃度が高くなり病気につながる恐れがあると言えます。
基礎疾患や腎機能に不安のある人は、エリスリトールを摂っても問題がないか医師に相談しておくのが望ましいです。

参考:栄養学雑誌「低エネルギー糖質甘味料・エリスリトールの体内代謝と食品への応用」
Nature Medicine「The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk」

エリスリトールの使い方と注意点

使い方

エリスリトールの甘味は砂糖の約75%程度といわれており、砂糖を同量のエリスリトールで置き換えると甘味が弱く物足りない味に。
砂糖と同じだけの甘味をエリスリトールで出したい場合は、レシピの約1.3倍の量のエリスリトールを使うと同程度の甘さになります。
ただし、甘さが同じでも甘味の感じ方や性質は同じではありません。
エリスリトールを使う場合は次のような性質をふまえて作りましょう。

砂糖をエリスリトールに置き換える際の注意点

【1】エリスリトールは後味が残りにくいため、よく言えばキレがよく爽やかな味、悪く言えばふくよかさがなく感じられます。爽やかさを感じたいデザートにおすすめです。

【2】エリスリトールは砂糖と違って保湿性が少なく膨らみにくいため、焼き菓子などを作る際に全量をエリスリトールにすると膨らみの少ない仕上がりに。ふっくらした仕上がりを大切にしたいお菓子はエリスリトールで置き換える割合を少なくする、ベーキングパウダーを入れるなど工夫しましょう。

【3】エリスリトールは、アイスクリームのように0℃以下のメニューに使うと硬くなりすぎてしまうのが難点。他の甘味料と混ぜて使いましょう。

【4】エリスリトールは、結晶が直接口に触れるメニュー(キャラメルポップコーンなど)だと冷涼感が際立つため、口の中で違和感を感じることがあります。

【5】エリスリトールを冷やして食べるメニューに使用する場合、結晶化して口の中でジャリジャリすることがあるので注意しましょう。

エリスリトールを初めて摂る際は、いきなり砂糖の全量を置き換えるのではなく、30~50%程度にとどめるなど、様子を見ながら使用するとよいでしょう。

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エリスリトールについてのQ&A

エリスリトールとは何ですか?
エリスリトール(英語:erythritol)は天然の糖アルコールの一種です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、糖アルコールとはキシリトールやソルビトール、マルチトールなどの仲間で、自然界に存在する甘味成分です。ただし、自然界に存在するといっても果物や野菜に含まれる量はごくわずかで、キシリトールなどと同様希少糖(rare sugar)と呼ばれています。
エリスリトールは何からできているのですか?
エリスリトールは、トウモロコシなどに含まれるブドウ糖を酵母発酵させて作られます。ワインや味噌などの発酵食品にも含まれている成分です。
エリスリトールは体に悪いですか?
エリスリトールはJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)において安全性が確認されています。「1日の摂取許容量を定める必要がない」とされていますが、キシリトールなどと同様に大量に摂取すると下痢の原因になることもあります。
エリスリトールを食べると下痢になりやすいですか?
エリスリトールは一度に大量に摂取するとお腹が緩くなることがありますが、通常の摂取量ではまず問題にならないと言われています。一度に摂取する量は成人の場合、40g程度までが目安です。
エリスリトールは加熱しても味は変わりませんか?
エリスリトールは加熱しても甘味が減ることはありません。温かい料理に使う場合も結晶化しづらく、おすすめです。
羅漢果とエリスリトールは同じものですか?
羅漢果には、テルペングリコシド配糖体というほぼノンカロリーの甘味成分が含まれています。しかし、エリスリトールとは全く別のものです。
エリスリトールは妊娠中も食べられますか?
エリスリトールは生殖毒性なども含めて安全性が確認されており、妊娠中に食べても問題ないとされています。心配な方は医師に相談してから摂取してください。
エリスリトールを子どもに与えても大丈夫?
エリスリトールはJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)で安全性が証明された甘味料ですが、子どもの場合成人と比較して少量の摂取でお腹が緩くなる可能性がありますので注意しましょう。

●管理栄養士からのコメント

エリスリトールは、あっさりした味と冷涼感を感じられる甘味料で、砂糖の75~85%程の甘さがあります。
砂糖と同量のエリスリトールに置き換えると甘味が弱く感じられ、物足りなく感じるかもしれません。また、保湿性が低いため、お菓子作りでは生地が膨らまないなどの失敗をする場合があります。
ただ、エリスリトールは加熱をしても甘味が減ることはないため、料理によって使い分けをしたり、砂糖と併用したりするといいかもしれませんね。

ようこ

管理栄養士プロフィール

◎鶴田ようこ

調理師・管理栄養士。2つの資格を生かし食用油脂製造会社にて品質管理に従事。
菜種油、オリーブ油の品質に関する分析、衛生管理等を行う。
幼い頃から野菜作りの手伝いをしていたことから、季節の野菜料理が得意。

かわしま屋のエリスリトール

かわしま屋のエリスリトールは、有機栽培のとうもろこしから抽出しています。
カロリーゼロで体内で代謝されないため、糖質制限をしている人におすすめの商品です。
様子を見ながら砂糖との置き換えに挑戦してみてはいかがでしょうか。



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この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。