急須の選び方|種類別の特徴と美味しいお茶になる急須とは?

急須の選び方

旅館やオフィスで一度は使ったことがある「急須」。
でも、いざ急須選びとなると、一体何を基準に選ぼうか迷う方も多いと思います。

使いやすさ・機能性・お手入れのしやすさ・デザイン…
調べれば調べるほど奥深い急須の世界。

今回はリサーチの結果、編集部がおすすめする急須選びのポイントをご紹介します!

急須の選び方

さまざまな急須がありますが、主な違いは「素材」「サイズ」「茶こし」「持ち手」の4点にあります。
それぞれの特徴を知って、自分にぴったりの急須を選びましょう!

素材

素材

一般的な陶器や磁器のほか、鉄器やガラス、樹脂などさまざまな素材の急須があります。
素材によって持ちやすさやお手入れのしやすさのほか、味も変わります。
くわしくは「南部鉄器からガラスまで。急須に人気の素材は?」をご覧ください。

サイズ

急須のサイズは「一度に何杯入れたいか」で決めます。
大体の目安は次のとおりです。

<急須のサイズと人数の目安>
1人~2人用:100ml~200ml
2人~3人用:200ml~340ml
3人~4人用:340ml~480ml

「大は小を兼ねる」と言いますが、急須についてはそれは当てはまりません。
大きい急須で少量のお茶をおいしく淹れることはできないのです。

「お客さんがたくさん来ることもあるし…」と思うかもしれませんが、お茶を淹れてから蒸らし、注ぐまでの時間は1~2分。お客さまが多い時は2回に分けても大した手間ではありません。
急須は普段の暮らしの中で飲む量を考えて購入することをおすすめします。

茶こしの形状

茶こしの形状

急須を選ぶうえで大きなポイントとなる茶こし。
茶こしの形状によって、味わいもお手入れのしやすさも大きく変わりますが、どれも一長一短です。
普段どのようなお茶を飲みたいのかということも踏まえて選ぶといいでしょう。

陶製茶こし
(ささめ茶こし)
急須と茶こしが共に陶器で一体となっているもの 長所:茶葉がしっかりとお湯に浸かり、泳ぐことができるのでおいしい。陶器製なのでお茶本来の味が楽しめる
短所:深蒸し茶など細かい茶葉は詰まったり、茶柱が湯呑みに入ったりすることも
金属茶こし
(本体一体型)
帯型・板型の網が急須に張られているもの 長所:茶葉がしっかりとお湯に浸かり、おいしく淹れられる。目が細かいので深蒸しや粉茶もOK
短所:網やその裏にヘドロ状の汚れがたまりやすく、ブラシなどでしっかり洗う必要あり
金属茶こし
(カゴ網型)
取り外しができる網のカゴが入っているもの 長所:茶葉を捨てるのが楽。外して洗えるので清潔に使える。
短所:カゴが小さいと茶葉がしっかりとお湯に浸からず、味が出ない

取っ手の形状

取っ手の形状

取っ手の形は主に4種類。どれがいい、悪いということはありませんので、持ちやすさや好み、飲みたいお茶を考えて選んでください。

①横に持ち手がついたタイプ(横手、よこで)
伝統的なタイプの急須。
親指で蓋をおさえられるので、片手で淹れることができます。
②後ろに持ち手がついたタイプ(後手、うしろで)
注ぎ口の反対側に持ち手がついたタイプ。
一般的なティーポットの形なので、洋風のインテリアにもなじみやすいです。
③上に持ち手がついたタイプ(上手、うわで)
鉄瓶のような形の急須。
熱が回りやすい鉄素材のものに多いです。ほうじ茶や番茶などの熱湯で淹れるお茶も安心。
④持ち手がないタイプ(宝瓶)
玉露など低い温度で淹れるお茶のための急須。樹脂製など熱の伝わりづらい素材で作られたものは、高温で抽出するお茶用としても使えます。

南部鉄器からガラスまで。急須に人気の素材は?

雰囲気にも、味にも、使いやすさにも大きく関わってくるのが急須の「素材」。
それぞれの素材の特徴についてまとめてみました。

陶器、磁器の急須

陶器、磁器の急須

今も昔も人気ナンバー1なのが陶器の急須です。
陶器の急須は微細な穴に入った空気がお湯に溶け、お茶の味を良くするという説があります。

一方で、お茶を淹れるのに適した土で作った急須は味を著しく良くする一方、適さない土で作った急須は味を平坦にしてしまうという話も。
陶器の土に含まれるミネラルについては製品によって異なり、吉と出るか凶と出るかはわからないという部分もあるようです。

陶製の急須として有名な「常滑焼」(よく見かける赤い色の急須です)や「萬古焼」はお茶のタンニンを減少させ、渋みの少ないまろやかな味にしてくれるといわれています。
陶器の急須については、こだわりのある製造元から購入するのが一番ですね。

なお、波佐見焼など「磁器」の方は、陶器と比べて土による影響は少ないようです。

南部鉄器の急須

南部鉄器の急須

保温性が高いのが南部鉄器の急須。陶器と比べると重いですが、割れにくいのが特徴です。
モダンな印象を与えるものが多く、インテリアになじみやすいのも嬉しいですね。

鉄器=直火にかけられるというイメージですが、急須についてはホーローなどでコーティングされ、火にかけられないものも多いです。
その場合は鉄分がお茶に溶けだすこともありませんので、鉄分摂取を目的にされている方は購入前にチェックしてください。

使用後はきちんと乾燥させるなど、お手入れには注意が必要です。

ガラスの急須

ガラスの急須

陶器の急須と比べると、急須自体の成分によるお茶の味への影響が少ないのがガラスの急須です。
透明なので茶葉が開くところを眺めることもでき、ハーブティーやドライフルーツ入りのお茶など色や見た目を楽しみたいお茶に使用するのもおすすめです。
電子レンジ対応のものは、温めなおしをすることもできます。

ステンレス、その他の素材の急須

ステンレス、その他の素材の急須

その他の素材としては、耐久性の高いステンレス製の急須も。注ぎ口が薄く軽快な湯切れが特徴ですが、「金気が気になる」という意見もあります。
アクリルやポリカーボネートなど樹脂製の急須は軽くて割れない、そして熱を伝えにくいのが特徴です。
小さなお子さんがいて割れるものは心配という方や、お年寄りなどなるべく軽いものを探されている方におすすめです。

「味」重視で急須を選ぶポイント

おしゃれな急須、可愛い急須、センスのいい急須…せっかくだから好みに合う急須を選びたい!という気持ち、よく分かります。
でも、デザインや見た目だけで選ぶと「こんなはずじゃなかった…」となりがちなのがキッチンツール。急須も大切なのは「見た目以上に中身」です。

おいしいお茶を淹れられる急須のポイントを押さえて、長く愛用できる急須を選びましょう!

ポイント1 お茶がしっかりと広がるスペースがあること

お茶がしっかりと広がるスペースがあること

急須にお湯を注ぐと、中に入っていた茶葉はゆっくりとほぐれ、お湯の中で広がります。
ところが、茶こしの形状によっては茶葉がお湯にしっかりと浸からなかったり、スペースが狭くてうまく広がらないことがあります。こうなるとおいしいお茶は淹れられません。

そこでおすすめなのは、茶こしがカゴ型ではなく、本体についている形の急須。「陶器茶こし」「網茶こし」「ささめ」「胴穴」などと呼ばれるのがこのタイプです。茶葉がしっかりと広がるスペースがあり、お湯に浸からないということもありません。

お手入れの都合でどうしても取り外しのできるカゴ型が良いという場合は、カゴがしっかりと底につく、できるだけ大きいものを選ぶと良いでしょう。

ポイント2 茶こしの材質は陶器がおすすめ

茶こしの材質は陶器がおすすめ

昔は急須と一体型の「陶器茶こし」が一般的でしたが、穴が大きくて茶葉が出てきてしまうといった難点があり、現在では金属の茶こしが一般的になってきました。
でも、金属製の茶こしは「お茶に金属臭がつき、陶器製と比べると味が落ちる」というのが多くのお茶屋さんの意見のようです。

そうはいっても陶器製は目詰まりが…ということでおすすめなのが、陶器茶こしの目の細かいもの。
目が細かいとお茶の流れがゆっくりになり、注ぎ切るのに時間がかかることもありますが、そのぶんお手入れは簡単です。

ポイント3 最後の1滴までしっかり注ぎ切る急須!

最後の1滴までしっかり注ぎ切る急須!

お茶は「最後の1滴」においしさが凝縮しているといわれています。
となれば、おいしいお茶を淹れられる急須とはすなわち「最後まで注ぎ切れる急須」。
実は1煎目を注ぎ切って急須の中を空にしておくことは、2煎目を渋みなくおいしくいただくためにも重要なのです。

チェックポイントは次の3点。

  • ・蓋の閉まり具合…急須と蓋の間に隙間がなく、ぴったりと閉まるかどうか
  • ・湯切れ…注ぎ口の湯切れがよく、垂れないかどうか
  • ・スムーズな流れ…目詰まりしづらく、湯残りしない形状かどうか

実際に注いで確かめられれば確実ですが、購入前に試せるお店は少ないため、商品説明や口コミなどでよくチェックしてみてください。

急須・茶こしの洗い方とお手入れ方法

「お茶なんて油汚れもないし、お手入れはそんなに気にしなくてもいいでしょう?」

そう考える方も多いようですが、実は洗い残しの汚れが原因で「いつの間にか味が悪くなった」というのもよくある話。

おいしく飲み続けるためには必須の、急須・茶こしのお手入れについて解説します。

急須・茶こしの洗い方

急須・茶こしの洗い方

お茶を淹れおわったらすぐにお湯で洗い流します。
特に注ぎ口と茶こしの穴部分には茶葉の欠片などがたまりやすいといわれていますので念入りに。
シャワーつきのシンクなら、水圧をかけてしっかりと洗いましょう。

汚れが気になるとき

汚れがついていると感じるときは、細いブラシなどでよくこすって落とします。
陶製の茶こしの場合は、楊枝などで強く突くと割れてしまうこともあるので必ずブラシで「やさしくていねいに」を心がけてください。
洗ったあとは水気をとり、伏せてよく乾燥させておきます。
特に鉄器の急須は全体の水をよくとらないと錆びてしまうので注意です。

洗剤や漂白剤は使ってもいいの?

陶器の急須は吸水性があるため、おいしいお茶を淹れるためには洗剤や漂白剤は使わない方が望ましいと言われています。
特に塩素系の漂白剤を使うと匂いがついてしまい、お茶にも匂いがうつります。
漂白剤を使う場合は、よく洗い流した後に煮沸してみると匂いがやわらぎます。

洗いやすい急須は?

洗いやすい急須は?

洗いやすい急須は次の3タイプです。

・カゴ網茶こしタイプ
…網を取り外して洗えるタイプ。大きさが合えば汚れたときに取り替えることも可能です。
・片口タイプ(茶こしなし)
…注ぎ口が筒状ではなく片口のタイプ。急須に切れ込みがあり、蓋で押さえて注げます。すみずみまで洗えて清潔。
・片口タイプ(茶こしあり)
…片口部分に板状の陶製茶こしがついたタイプ。板状なので裏側も洗いやすく清潔です。

購入する前には、流水で洗い流しにくい部分がないかどうかを確認しておくとよいでしょう。

急須についてのQ&A

南部鉄器の急須と鉄瓶の違いは何ですか?
鉄瓶はお湯を沸かすことを目的としたもので、南部鉄器の鉄瓶で沸かしたお湯は味もまろやかで鉄分の摂取もできると人気です。
急須はお湯を沸かすためではなくお茶を淹れるためのものですので、内部をホーローでコーティングされたものが多いです。
直火にかけることはできないので注意してください。
急須の口についているビニールチューブにはどんな役割があるのですか?
急須を購入した時についてくるビニールチューブは、輸送時に注ぎ口が欠けないよう保護するためのものです。
使うときには外して使います。
その他に、急須の湯切れを改善するために販売されている商品もあります。
必ず食品衛生法に適合したものを選びましょう。
急須とティーポットはどこが違うのですか?
英語では急須もティーポットと呼ばれていますが、急須の方が小さくティーポットの方が大きめですね。
「お茶を淹れたら注ぎ切り、中身は残さない」のが基本である急須に対して、ティーポットの方はお茶をたっぷりと淹れ、ティータイムの間ゆったりと何杯もお茶が楽しめる造りです。
これは、ヨーロッパでは水が硬水で、お茶をティーポットに入れっぱなしにしておいても渋みがあまり出ないためなのだそうです。
急須の茶渋を落とすとき、漂白剤を使いたくないのですが…。
気になる茶渋は重曹を使うときれいに落とすことができます。
やり方は重曹を水で溶いてペースト状にし、指でこするだけ。
どうしても届かない部分の汚れを落としたいときは漂白剤を使ったあと、よくすすいで煮沸すると匂いがとれるようです。
「立つ急須」がよいと聞きました。なぜですか?
横手の急須の持ち手部分を下にした時に「立つ」急須がよいと言われることがありますが、それは重心のバランスがよく使いやすいということのようです。
実際に試してみて使いやすければ、立つかどうかは気にしなくてもよいでしょう。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする

この記事を書いた人

パン作りと温泉をこよなく愛する2児の母。老後は伊豆で大きな犬と暮らすのが夢です。豆乳が好き、猫は苦手。