納豆に乳酸菌は入ってる?納豆と乳酸菌の相性と3つの効果とは

記事の監修

この記事は管理栄養士の方に監修していただいています

管理栄養士

稲尾貴子

管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。

納豆菌・乳酸菌のダブルで菌活!

乳酸菌を含む食材のリストに登場する「納豆」…。

「納豆を発酵させるのは納豆菌のはずでは?」「乳酸菌と納豆菌はケンカしないの?」さまざまな疑問がわいてきませんか?

今回は、そんな納豆菌・乳酸菌の関係や、その効果と効能についてご紹介します。

納豆には乳酸菌が含まれる?

納豆には乳酸菌が含まれる?

結論から先に書くと、納豆には乳酸菌が含まれています。

納豆を製造する時に添加されるのは納豆菌であり、基本的には乳酸菌は添加されていません。
ただ、乳酸菌は空気中にもたくさん存在しているもの。製造工程の中で空気に触れる時に乳酸菌が入り、納豆菌と乳酸菌、両方が含まれるのが一般的な納豆です。
これは味噌なども同様で、特に乳酸菌を添加していなくても乳酸菌が含まれ、複雑な風味を作り出しています。

となると気になるのが乳酸菌の量ですが、納豆に含まれる乳酸菌量は製法などによって異なります。
中には納豆を乳酸菌と納豆菌で共存発酵させて作った「乳酸菌納豆」というものも存在し、それは納豆1g中に数十億もの乳酸菌が含まれているそうです。

乳酸菌を添加して作られた「乳酸菌納豆」以外の納豆に含まれる乳酸菌は、天然の乳酸菌。
その種類は量と同じく、商品によって異なるようです。

納豆菌

納豆菌とは|乳酸菌を増やす効果も。熱に強く腸まで届く
納豆をつくるために欠かせない「納豆菌」。多くの菌とは異なるその効果や特徴とは一体なんでしょうか。
納豆菌とは|乳酸菌を増やす効果も。熱に強く腸まで届くの記事を見る

発酵食品からとれた乳酸菌パウダー


納豆+キムチはOK?納豆菌と乳酸菌の相性

納豆に乳酸菌が含まれるということが分かっても、まだ釈然としない、という方もいらっしゃるでしょう。
「日本酒を作る時には納豆を食べてはいけない」という話などを耳にしたことがある方には、「納豆菌が強すぎて腸の中で乳酸菌を殺してしまうのでは?」という疑問もわいてきますよね。

納豆菌と乳酸菌の相性、実際のところはどうなのでしょうか?

納豆とキムチを同時に食べるとどうなる?

納豆とキムチを同時に食べるとどうなる?

正解は、「腸内環境が整う」。
実は納豆菌には、乳酸菌を殺すどころか増やす効果があるといわれているのです。次の表は納豆菌と乳酸菌の特徴です。

納豆菌 乳酸菌
特徴 ・熱に強い
・酸に強い
・生きて腸まで届く
・熱に弱い
・酸に弱い
・生きて腸まで届かないものも
働き ・腸内の悪玉菌を減らす
・乳酸菌を増やす
・ナットウキナーゼやビタミンK2などを産生
・腸内の悪玉菌を減らす
・全身にさまざまな健康効果
・乳酸を産生
・ビタミンを合成

納豆菌と乳酸菌はどちらも善玉菌であり、悪玉菌を抑える働きがありますが、それぞれ働きが違います。
納豆菌は、熱や胃酸に強く、生きた状態で腸まで届き、そこで善玉菌の増殖を助けます。
一方の乳酸菌は、生きて腸まで届かないものも多いとされていますが、死菌でも善玉菌のエサとなり、腸内にもともといる善玉菌の増殖を助けるのです。

納豆の原料である大豆は食物繊維豊富で、腸をきれいにする効果ももっています。
納豆菌と乳酸菌は、一緒に摂ることで相乗効果が期待できる黄金コンビなのです。

納豆+乳酸菌料理のポイント

「納豆とキムチのチャーハン」、「納豆とキムチのチヂミ」…納豆と乳酸菌のコラボ料理にはおいしいメニューがいっぱい!

でも、ちょっと待ってください。納豆菌の耐熱温度は120℃です。
加熱もOKですが、温度を上げ過ぎないように注意して調理しましょう。

乳酸菌は死菌でも腸内環境を整える効果があるといわれていますが、生きたまま摂りたい場合は加熱せずに食べるようにしましょう。

また、納豆の有効成分「ナットウキナーゼ」も70℃以上の温度で効果が下がると言われています。
血液サラサラ効果を求める場合は生でどうぞ。

善玉菌を増やす食べものとは

善玉菌を増やす食べものとは|かわしま屋コンテンツ
今回は、善玉菌の種類から増やし方まで、たっぷり紹介していきます。
ご自身の腸内環境に自信がない方、腸内環境を整えたいと考えている方は必見です。
善玉菌を増やす食べものとはの記事を見る

悪玉菌とは

悪玉菌とは?悪玉菌が増える原因、減らす食べ物を紹介|かわしま屋コンテンツ
腸内フローラ・腸内細菌という言葉は知りつつも、悪玉菌とはどんな細菌なのか、
悪玉菌が増えてしまう原因には何があるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。
悪玉菌とは?悪玉菌が増える原因、減らす食べ物を紹介の記事を見る

乳酸菌の種類と効果

乳酸菌の種類と効果
私たちの体を守ってくれる免疫機能が集中している「腸」。
整腸作用の他にも、乳酸菌にはさまざまな効果を発揮することがわかってきました。
今回は、乳酸菌に期待できる効果について詳しく紹介していきます。
乳酸菌の種類と効果の記事を見る

納豆にキムチを入れると乳酸菌量が増える?

納豆にキムチを入れると乳酸菌量が増える?

納豆菌と乳酸菌は相性抜群。…ということは、納豆にキムチやぬか漬けを混ぜて保存すると乳酸発酵し、納豆自体の乳酸菌量を増加させることができるのでしょうか?
自宅で「乳酸菌納豆」に近いものが作れるなら試してみたいですよね。

納豆を乳酸発酵させたものとしては、青森県に「ごど」という発酵食品が存在するそうです。
この「ごど」は、納豆に麹と塩、少量のぬるま湯を加えて乳酸発酵させたもの。
納豆の旨みに麹の甘みと乳酸発酵の酸味が加わって、複雑な旨味を醸し出すのだそうです。
冷蔵庫で保存しながら発酵させられ、酸味や旨味の変化を楽しめるそうですよ。

納豆と乳酸菌のコラボレーション、関心のある方は一度試してみては?

乳酸菌の働き|医療の現場も注目している乳酸菌の持つ驚きの効果

乳酸菌の働き|医療の現場も注目している乳酸菌の持つ驚きの効果
TVのCMなどでもよく耳にする「乳酸菌」という言葉。
「乳酸菌」から連想できるキーワードと言うと、「ヨーグルト」、「白っぽい」、「腸に優しそう」といったところでしょうか?
しかし実際に乳酸菌とは何ですか?と問われると具体的に答えられない方がほとんだと思います。
今回は私達日本人の生活とも関係の深い「乳酸菌」について検証してみました。

乳酸菌の働き|医療の現場も注目している乳酸菌の持つ驚きの効果の記事を見る

納豆菌・乳酸菌の効果・効能

納豆菌と乳酸菌が一緒に含まれている整腸剤、ご覧になったことがある方も多いでしょう。
納豆菌と乳酸菌が組み合わさることでどんな効果が期待できるのか?
 納豆菌と乳酸菌、両方に認められている効果をご紹介します。

効果1 腸内フローラ改善効果

腸内フローラ改善効果

前章でも書いたとおり、乳酸菌、納豆菌には悪玉菌の増殖を防ぐ働きがあります。
悪玉菌が増加すると腸のぜん動運動を弱らせ、便秘の原因になるだけでなく有害物質を産生し、発がん物質を作り出すことも。

乳酸菌、納豆菌はこうした悪玉菌を減少させ、便秘の改善など腸にかかわる不調の改善だけでなく、糖尿病やアレルギーなど、腸内環境が関わる多くの病気のリスクを低減させる可能性をもっています。

また、腸内細菌は、幸福感や心のバランスを保つために必要なセロトニンやドーパミンの合成にかかわっています。腸内環境を改善することで、憂鬱な気分や、うつ病の改善にも期待ができます。

 

参照:「Probioticとしての納豆菌の作用」

効果2 免疫コントロール、アレルギー抑制効果

免疫コントロール、アレルギー抑制効果

乳酸菌には免疫細胞のバランスを整える働きがあり、それによりアレルギーを抑制する効果があるとされています。
納豆についても、納豆を毎日食べていた母親から生まれた子どもは、そうでない母親から生まれた子と比較して乳児期に湿疹になりにくいというデータがあります。
また、細胞レベルの実験では納豆菌にも免疫を制御する働きが観察されており、アレルギー抑制効果が期待されています。

 

参照:「納豆菌による樹状細胞の活性化と免疫制御機能の解明」
”Maternal Intake of Natto, a Japan’s Traditional Fermented Soybean Food, during Pregnancy and the Risk of Eczema in Japanese Babies”

効果3 口腔内フローラ改善、歯周病予防効果

口腔内フローラ改善、歯周病予防効果

乳酸菌には、歯周病の病原細菌を減少させる効果があることがわかっています。
乳酸菌を含むシュガーレスガムやタブレット、ヨーグルトなどを口に入れることで、口中の悪玉菌を減らし、口腔内フローラを整える効果があるそうです。
さらに一部の納豆菌にも歯周病菌の原因となる細菌を減少させるという実験結果があり、口腔内フローラを整える効果が期待されています。

 

参照:「乳酸菌配合シュガーレスガムが歯周病患者唾液中の歯周病原細菌叢に与える影響」

腸内環境・腸内フローラについて

腸内環境・腸内フローラについて|かわしま屋コンテンツ
腸内環境が悪化するとどんな悪影響があるのか、改善するにはどうしたらいいか。
普段見ることが出来ない自分のお腹の中でどんなことが起こっているのか?

乳酸菌サプリの効果なども詳しく解説していきます!
腸内環境・腸内フローラについての記事を見る

腸内フローラに役立つ乳酸菌パウダー

菌活のための食材リスト

Wで腸に効く納豆菌と乳酸菌。
これら微生物の「プロバイオティクス」コンビに、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」食材を組み合わせて、おいしく「菌活・腸活」するポイントを解説します。

1.基本は、野菜たっぷりの和食

基本は、野菜たっぷりの和食

納豆・味噌・醤油・漬け物…。
「昔ながらの和食」には菌がいっぱい。
「まごわやさしい(豆・ごま・海藻・野菜・魚・きのこ・いも)」食材には食物繊維やオリゴ糖もたっぷり含まれています。

ポイントは食物繊維の種類。便のかさを増やし、腸の不要物を排出してくれる「不溶性食物繊維」と善玉菌のエサになりやすい「水溶性食物繊維」をバランスよく摂ることが大切です。多様な食材をバランスよく摂りましょう!

不溶性食物繊維が豊富な食材
豆類、穀類、サツマイモ、ごぼう、トウモロコシ、ブロッコリーなど

水溶性食物繊維が豊富な食材
わかめ、りんご、キノコ、青汁、大麦、プルーン、納豆、きんかんなど

オリゴ糖が豊富な食材
大豆、玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、トウモロコシ、バナナなど

2.主食は「食物繊維」で選ぶ

主食は「食物繊維」で選ぶ

白米と玄米、白い小麦粉と全粒粉。実は、食物繊維量が大きく異なります。

例えば、1日2食(300g)を白米から玄米に変えると、摂取できる食物繊維量の差は3.3g。
1日あたりの食物繊維摂取の目標量は18~64歳女性が18g以上、65歳以上女性は17g以上、18~64歳男性が21g以上、65歳以上男性は20g以上です。女性であれば主食を変えるだけで1日摂取量の約1/5を摂れる計算になります。

参考文献:
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

毎日摂るものだからこそ、主食には食物繊維をたっぷり摂れる「全粒穀物」を。腸を整える働きはもちろん、血糖値が上がりづらいというメリットもありますよ。

3.世界の発酵食品を楽しもう!

世界の発酵食品を楽しもう!

ひとつの発酵食品には多種多様な菌が含まれています。世界各地で生まれた発酵食品を楽しみながら、食生活にさまざまな菌を摂り入れてみませんか?

日本と世界の発酵食品

乳の発酵食品
ヨーグルト、ケフィア、サワークリーム、ナチュラルチーズ、発酵バター

魚の発酵食品
飯寿司(ニシン漬けなど)、鮒ずし、辛子明太子、アンチョビ

肉の発酵食品
生ハム、サラミ(伝統製法のもの)

野菜の発酵食品
ぬか漬け、すんき漬け、たくあん、柴漬け、メンマ、ザーサイ、キムチ、水キムチ、ザワークラウト、ピクルス

穀物の発酵食品
パン(特に長時間発酵のもの)、どぶろく、マッコリ、発酵甘酒

調味料
味噌、醤油、しょっつる、ナンプラー

これらの食材はすべて乳酸発酵しています。
「納豆・キムチ・チーズ」や「明太子・チーズ」など、発酵食品同士は相性がよい組み合わせも多いもの。
普段の食事にプラスすることで、食卓を豊かにしながら楽しく「菌活」してみてください。

シンバイオティクスとは

シンバイオティクスとは?乳酸菌との関係|かわしま屋コンテンツ
プロバイオティクスとプレバイオティクスの組み合わせであるシンバイオティクス。
今回は実際にどんな食材の組み合わせがシンバイオティクスの考え方になるのかご紹介します。
腸や健康に利益をもたらすお勧めレシピも必見です。

シンバイオティクスとは?乳酸菌との関係

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介|かわしま屋コンテンツ
プロバイオティクスの定義から、腸内フローラ・プレバイオティクスとの関係まで、分かりやすく紹介していきます。
プレバイオティクスについて知りたい方、過去にプレバイオティクスに関する記事を読んだけれどよく理解できなかった、という方は必見です。

プロバイオティクスって一体なに?詳しい定義からヨーグルトとの関係まで紹介の記事を見る

サプリメントで「続ける」菌活

乳酸菌はさまざまな食品に含まれていますが、その種類は一説によると2,000種以上も存在するといわれており、自分の身体に合うかどうかは試してみないと分からないそうです。
種類によって効能も違うので、1種類だけでなくさまざまな乳酸菌食材を摂るのがおすすめ。

ひとつの発酵食品を食べ続けるのが難しい、というときは、サプリメントで摂取するのも方法のひとつです。
乳酸菌は2週間程度続けて摂取することで効果が見えてくると言われているので、継続しやすいサプリメントで、効果を試してみてください。

乳酸菌サプリ|効果・効能と正しいサプリの飲み方とは

乳酸菌サプリ|効果・効能と正しいサプリの飲み方とは
腸内環境を整える「菌活」のひとつである乳酸菌サプリ。
「食事と同じように効くの?」「具体的な効果は?」「副作用はないの?」
今回は、乳酸菌サプリの気になるポイントについてご説明します。
乳酸菌サプリ|効果・効能と正しいサプリの飲み方とはの記事を見る

腸内環境におすすめの植物性の乳酸菌

●管理栄養士からのコメント

納豆を炊きたてのご飯に乗せると、ナットウキナーゼの血液サラサラ効果が落ちてしまいます。
70℃未満のご飯に乗せて食べるようにしましょう。

納豆チャーハンなどの加熱する料理では、納豆菌の効果を落とさないために、120℃以上に加熱しすぎないように注意しましょう。
納豆菌は腸内で活性化し、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増殖させ、悪玉菌の増殖を抑える働きもあるため、腸内環境を整えてくれます。

納豆には乳酸菌も含まれていますが、乳酸菌を多く含む食品と同時に摂ることで、より効果は高まります。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品だけではなく、ぬか漬けなどの漬物、みそ汁やキムチなどの発酵食品にも乳酸菌は多く含まれています。普段の食事にプラスし、納豆と一緒に摂ることをおすすめします。

稲尾 貴子

管理栄養士プロフィール

◎稲尾 貴子

管理栄養士として病院や保育園に勤務した経験があります。延べ1万人以上の栄養指導実績があり、得意分野は糖質制限や塩分制限、減量などの栄養サポートです。パン作りが趣味の2児の母です。食欲旺盛なこども達のためにパンを作り始めたところ、パンの奥深さに魅了されています。

▼公式サイト
https://www.instagram.com/takako.inao/

納豆菌、乳酸菌についてのQ&A

納豆を加熱すると乳酸菌はどうなりますか?
納豆は120℃までの加熱に耐えると言われていますが、乳酸菌は熱に弱く、50~60℃程度でも死滅してしまうといわれています。
ただし、死んだから効果がないというわけではなく、死菌であっても腸内環境を整えます。
賞味期限を過ぎると納豆菌の量は減ってしまうのですか?
賞味期限を過ぎると味が変化し、徐々にアンモニア臭が強くなっていきます。
食味は悪くなりますが、納豆菌の量はむしろ増えるそうです。
納豆はたくさんかき混ぜたほうがよいと聞いたことがありますが…。
たくさん混ぜると粘りは多くなりますが、納豆菌の数や成分は特に変わりません。
納豆は凍らせてもいいですか?
加熱と違い、冷凍はOK。
凍らせても納豆菌、乳酸菌は生きています。
納豆菌や乳酸菌が水質の浄化に使われているって本当ですか?
納豆菌や乳酸菌は水質向上のための環境資材としても使われています。
川などに元々いる微生物のエサとなり、食物連鎖を促進することで川の水を浄化するそうです。

菌活におすすめの商品

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする

この記事を書いた人

コンテンツ、写真撮影担当。暇があったらキッチンで発酵食品や保存食品を作ったり、写真を撮ったりしています。趣味は一人で映画に行くこと。